あのひとはもう何を云っても無駄だから私は何も云わないわ。これが大人になるということなのよ そうそれなら私は大人になんかなりたくない。云いたいことも云えず関係を築いてゆくことなんて私には虚しいだけだもの。 出逢いには深く感謝を、別れには至上のさようならを。ねぇクロロ、あなたならわかってくれる?

、手出して」
「? はい、」

隣でソファに腰掛けていたクロロを見やると漆黒の瞳と目が合った。ん?そう首を傾げたと思ったら今度は思い出したように私の名を呼ぶ。 彼の望みどおり左手を、彼の差し出してくれた右手にのせると心臓がトクンと一跳ねしたのが自分でもよくわかった( 彼に  期待してる ) 今日は果たしてどんな魔法を見せてくれるのかな(ドキドキ)高鳴る鼓動を抑えもせず左手にかけられた魔法は、それはそれは虚をつかれるほど意外なもので。 彼の顔をまじまじと見てしまうには十分なくらい呆気のとられるものだった。

「なにこれ」
「キャンディー」

(そ、それぐらいわかりますよクロロさぁん!)そうじゃなくて!この飴をなぜ私にくれたのってことですよクロロさん。 (私頭の悪い子だと思われてるのかな...不安になってきた。未来とか)言葉足らずな彼に頬を膨らます。 そんな私をみておかしそうに微笑んで、 、ってもう一度名前を呼ぶクロロ。 やば、かっこい。すると私の掌にあるキャンディーを口に含む。ゆっくり、彼の唇が重なった。

「ん、...っ」
「ヤラしんだ」

そんな科白に赤く染まる私の下唇をぺろりと舐め上げて悪戯に笑ったクロロはそれはそれは色を含んでいて有無を言わせない。口移しで貰うキャンディーの存在が とてもとてもイヤらしくて少し涙を溜めた。私、ヤラしくないよクロロ。私じゃないよ。あ、でも、クロロがそういうなら私 イヤらしくもなれるし何にでもなれるよほんとだよ。 こんな想いを彼は知らない。( クロロ、 )すき スキだよクロロ。 ダイスキ  これはなんのまほう?

が俺しか考えられなくなるキャンディー」
「 ば、 ばか...!」

クロロくろろ。ねぇ私はね毎日まいにちどんな時間もどんな日だってあなたのことしか考えられないのにばかだなぁ。そう云おうと思ったけどやめた。

「クロロすき」
「ん。ねぇ



( 魔法キャンディーに含まれる成分なのかな、それともの、   )



day by day



( のことすごいスキなんだよ。 世界くらいなら余裕で壊せる。きみが望めばの話だけれど。
       だからもっとをスキにならなくちゃ許さないから)